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「英語多読」効果を得たいなら、6つのルールを守る

目次

「英語多読」とは

英語学習者であれば、どこかで「英語多読」と耳にしたことがあるのではないでしょうか。

多読とは、読んで字のごとく「本をたくさん読むこと」ですが、英語多読とは英語学習法の1つ。インターネットを見ていると「英語多読なら100万語めざそう」といった肯定的な提案や「英語多読は意味がない」といった否定的な内容まで見かけます。

この記事では英語多読について書かれた著書を元に、多読の効果、そしてより多読効果を得るためのルールや記憶に関するメカニズムについてもお伝えしていきます。

こんな人に読んでほしい

・短期ではなく、長期間で英語を習得したい人
・自分のペースで英語を学びたい人
・英語の本を読めるようになりたい人

参考本

筆者が、今回参考にした著書をご紹介

英語教育者・教員志望者をメイン対象にした本のようですが、一般人でも十分に実践できるポイントがありました。こちらの本では、識字のしくみ・ワーキングメモリの記憶メカニズムを解説したあとに、こども(ここでは小~大学生)を対象にした研究データを元に英語多読の効果が述べられています。

英語多読は効果がある!ただし、条件付き。

研究の結果「英語多読の効果はある!」と述べられているものの、効果を得るために守らなければならないルールがあります。本に書かれていた内容を元に筆者の方でシンプルにまとめました。のちほど他のルールも合わせて6つご紹介したいと思います。

・短期結果は求めない。
・選ぶ本のレベルを間違えない。
・まずは、興味のあるジャンルから本を選ぶ。
・多読効果を意識しながら進行する。

英語多読の効果

さて、ここからは、多読の効果についてお話していきます。効果は多数ありますが、この記事では2つのみに絞ってお伝えしていきます。先にも記述した通り、短期的な効果を欲している方ではなく「継続して長く英語を学びたい人」に向けたものになっています。

まずは空箱にたくさんの情報をしまおう!

わたしたちが英語を学ぶとき「もっと言葉がすらすら出てくればいいのに…」と思いますよね。流暢なアウトプットを現実のものとするには、そもそも外に出すための情報(語彙・語順)のインプットが必要です。まずは空箱に情報たちをどんどんしまう作業からはじめましょう。
それらを増やすのに効果的な方法が、英語多読です。

英語多読の効果① 英語を英語のまま理解できる

英語を話そうとするとき「日本語でどういうんだっけ…?」と、脳内で英語から日本語に変換することってよくあるのではないでしょうか。ただ、日本語と英語は語順も違えば、感覚も異なる言語です。
「吾輩は猫である」を「I’m a cat」と訳されると、日本語話者としては「まぁそうなんだけど…なんか違う…」と思いますよね。それぞれの言語は、人々の感覚や歴史、そして文化など、様々な個性で成り立っています。

言語を学ぶとき、最終的なゴールは語彙の意味を知るだけでなく「実際につかえるようになること」です。
多読を通して同じ単語になんども巡り合うことにより、自然と語彙の意味が頭に入るようになります。そして多読を繰り返すことで、より多くの本が読めて、同じ語・同じフレーズ・同じ構文に遭遇する頻度がさらに増え、だんだんと内容の理解が深まります。そうすることで、知らない単語やフレーズの意味も推測でき、英語を英語のままに自然に覚えることができるようになる、ということですね。
「語彙を気合で覚える」のではなく、語彙や英文の構造が自然と理解できるようになる!

そして読書中は辞書を引きません。気になる語はメモしておき、読書しながら推測した意味と、読書のあとに調べた実際の意味とで照らし合わせれば、さらに語彙取得が確実になるでしょう。

英語多読の効果② リスニング力の向上

「読む」ことでリスニング力にアップにつながるの…?と思われるかもしれませんが、多読をすればリスニング力が向上し、またリスニングによってリーディング力も伸びる、という結果が出ているそうです。

Elley and Mangubhai(1981)による、フィージーの農村部の小学生対象に行われた”Book Flood”という名前の報告があります。筆者が多読指導していた大学のクラスではクラス分けのために行われたTOEICで、リーディング力が伸びる前に、クラス全体のリスニング力が伸びていました。別の研究事例では、TOEICスコアが600点から伸び悩んでいた化学の教師が、1年間多読を行ったところ、スコアが760点伸びました。伸びたのはリスニングのスコアでした(Takase,2006)

著書:英語リーディングの認知科学 文字学習と多読効果をさぐる

リスニング中、わからない英単語がでてきた途端にそれが気になってしまい、その後なにを言っているかまったくわからなくなる…なんていうご経験あるのではないでしょうか。リスニングはリーディングと違い、聞き直しすることができません。そのためわからない単語に集中してしまうと、話しが先へ先へと進み、理解が追いつかなくなります。でも、英語多読では、わからない単語は無視をして文脈で全体を把握していくので、それがリスニングでも応用できるようになるということですね。多読を通して、語彙力が増える・知識が増えるといったことも理由の1つですが、多くの易しい本(自分のレベルに合わせた本)で多読を繰り返すことにより、語彙力が向上するだけでなく、英語を英語のままの語順や音で理解できる。そうすると、英語の意味理解のスピードが速くなり、結果的にリスニング力の向上にも繋がるのだと思われます。

より深く効果を体感したいなら?

大人になると、理屈っぽく頭で考えすぎて、行動するのが億劫になってしまうことってありますよね。子供のような素直さが減ることは悲しくもありますが、ただ、自分で考えて、自分で行動して、自分で選択までできるのが大人のいいところ。英語多読を始める前に合わせて「記憶のメカニズム」「学習方法」も理解しておくと、英語多読の効果をより感じられると思います。

ワーキングメモリ

ワーキングメモリとは、必要な情報を必要な期間だけいったん脳に保持しておき、その情報がいるのか、はたまたいらないのか、取捨選択していく仕組みを指しています。メモ・付箋のような役割ですね。残念ながらワーキングメモリ自体の容量を増やすことはできないそうです。そのため「効率よく使う」ことが大事になります。まだ慣れない英語をつかう場合に、新しい情報を「いったん脳に保持しよう!」・「検索して、参照しよう!」という作業がメインに働き、ワーキングメモリの容量があっという間にいっぱいになります。
時間はかかりますが、語彙を手続き記憶(母国語のように自動的に言葉がでてくる状態)に入れて、ワーキングメモリの負担を減らしていきましょう。

英語を学習する際の2つの方法

みなさんは、2つの学習法をご存じでしょうか。

演繹法(えんえき法)

高校・大学受験、英検、TOEICなどの英語試験対策のためにとられる学習法です。正確さやルールが重視されるので、英語を日本語に直訳しながら英文のルールに則って内容を理解するといった訓練を繰り返します。

帰納法(きのう法)

一方で帰納法とは、母国語の取得と同じように、自然な英語を身に着けた後に、ルールを学ぶ方法です。大量のインプット行いながら身体をつかって覚えていくので、長い時間がかかりますが能動的で積極的な学習法です。

どちらの学習法が良い悪いではなく、自分の目的に合わせて学習法を選びたいですね。

多読のルール

前半でも少しお話しましたが、多読のルールをご紹介します。

①自分にとって易しいレベルを選ぶ(自己レベルより1段階むずかしいレベル)
②興味のある題材を選ぶ
③小説、物語、自己啓発など幅広いジャンルから選ぶ
④辞書は引かない
⑤できるだけたくさん読む
⑥あまり神経質にならず、内容の大枠を把握する

多読をする上で大切なことは、楽しみながら、多読を長期間つづけるということです。興味のない内容や自分にとって高すぎるレベルの本を選ぶと、楽しく多読を続けることができなくなります。「多読は意味がない」「多読に効果はない」と言われる理由は、このルールを守らず、難しい本を選択したり、わからない単語に執着して前に進めないことが原因と思われます。
自分が普段アンテナをはっている物事や、感情が動くものを選ぶこと。そして、自分のレベルよりワンランクだけ上の本を選ぶことで、無理なく新しい語に出合うチャンスも生まれ、語彙力アップにも繋がります。

100万語多読とは?

英語多読についてリサーチをしていると「めざせ!100万語」「多読100万語へのロードマップ」など、
“100万語”というワードが頻繁にでてきます。

なぜ「100万語読め」と言われているのか。

これは、とある日本人著書が過去に、学生の多読状況を観察していた際、100万語読んだ学生がスムーズに英語を読んでいることに気が付き、「100万語」とつ名付けたことが始まりだそう。そこから次々と本のタイトルに「100万語」と記述のあるものが出版され、多読のゴールとして「100万語」が多く扱われることになったとのこと。そのため、実際に100万語を目指すというよりは「それぐらいから本格的に読書を楽しめるようになりますよ」という1つのボーダーラインとして思っておいていただくと良いと思います。(アメリカの小学5年生が1年間に読む文字数が「100万語」にあたるそうです)

おわりに

自然な英語を習得したい人におすすめできる学習法「英語多読」をご紹介しました。その言語を、その言語のままにに学ぶ方法としては、とても理想的なプロセスではないでしょうか。もちろん多読だけではなく、他の方法とも合わせることで相乗効果も生まれると思います。ぜひ楽しみながらゆっくりと時間をかけて挑戦してみてくださいね。


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